特別寄稿コラム
「準備で8割が決まる」 ── 企業が指名し続ける、
キューシードの「超上流マネジメント論」
現代の動画制作市場において、「短納期・低価格」を謳うソフトウェア・オペレーターや、ボタン一つで台本を吐き出すAIツールが溢れかえっています。それらを目にした発注者様の中には、「動画制作の本番は撮影と編集であり、事前の打ち合わせはただの営業行為(タダの段取り)だ」と錯覚されている方が少なくありません。
しかし、私たちは映画・放送のDNAを組み、大手・中堅企業の研修・採用・ブランディング映像を30年創り続けてきたプロとして、冷酷な事実を告げます。10年先まで組織の資産として残り、人間の心を本気で動かす映像の本質は、撮影や編集といった「下流の作業」にはありません。私たちの業務は、カメラを回す前の『準備(上流工程)』を終えた段階で、すでに全体の70%〜80%が完了しています。
なぜ、私たちは撮影前の「シナリオ設計」に2〜3ヶ月もの時間をかけ、クライアント企業と膝を突き合わせて細かい文言まで徹底的に詰めるのか。大手企業の決裁者が、価格競争の有象無象を退けて私たちを指名し続ける理由、その「超上流マネジメント」の全貌をここに明かします。
1. ── 2〜3ヶ月をかける「シナリオ設計」と「スタッフィング」という命の図面
私たちの仕事は、キックオフの瞬間から始まります。特に企業の研修映像やブランディング、採用動画は、会社の未来を左右する「資産」として10年使われることも珍しくありません。だからこそ、ターゲットに合わせた演出方法を提案し、絶対に飽きさせない工夫を凝らすために、最初の構成やシナリオ作りに2〜3ヶ月を費やすことは日常茶飯事です。ここで徹底的な「合意形成」が取れなければ、私たちは絶対に撮影には進みません。
さらに、限られた予算という制約の中で、作品のクオリティを最大化するための「スタッフィング(座組み)」を同時に構築します。プロデューサー、ディレクター、AD、そしてカメラ・音声・照明といった技術スタッフの選定から、出演者のキャスティング、ロケハンの手配までをすべてこの段階で設計します。ドラマであれば撮影場所の設定、ドキュメンタリーであれば取材対象との事前の深い交渉。さらには香盤表(スケジュール)の作成やカット割、スタッフミーティングにいたるまで、撮影前にすべてのリスクを洗い出し、クライアント企業と一緒に「管理体制(マネジメント)」を構築していく。この、形にならない「脳と時間の投資」こそが、コンテンツのクオリティを決定づける一番の心臓部(コンサルティング)なのです。
2.──「現場OK」を一発で掴み取る、徹底した立ち会いと決断のドラマ
なぜ、私たちは撮影現場に必ずクライアント様に立ち会ってもらうのか。それは、現場こそが「想定外のリアル」が蠢く修羅場だからです。ドラマの撮影では、どれだけシナリオを詰め切っても、実際の役者が本気で演じてみるとニュアンスが違ったり、「これでは受講生に伝わらない」という壁にぶつかることがあります。その瞬間、演出家としてのその場の判断で、現場でシナリオを書き換える。ドキュメンタリーの取材では、予定していたコメントが撮れなかったり、逆に現場で追加の要望が生まれたりする。
だからこそ、クライアント様と常に一蓮括生(アテンド)で現場を歩み、「その場で、全員の熱量でOKカットを掴み取る」。後から「イメージと違うから修正、修正」というデジタルの甘え(手戻り)を起こさないための、プロの絶対的な覚悟がここにあります。
3.── 19の工程を都度クリアしていく、無限修正を生まない編集論
撮影が終わった後の「編集」とは、私たちにとって、上流で設計した図面通りにパズルを組み立てていく、極めて論理的な作業(プロセス)です。ドラマはカット割に沿って、伝えたいことと演技に矛盾がないように効果的に繋いでいく。ドキュメンタリーのインタビューは、一度すべてのコメントを起こし(文字起こし)、使いどころの目星をつけた「OKカット」をクライアント様と一度まな板の上に乗せて協議します。そこで編集方針を確定し、必要であればナレーションの変更も合わせて提案した上で、初めて本編集へと進みます。
世の中の内製化動画や安価な制作者が「終わりのない修正の嵐」で崩壊していく中、私たちがクオリティを保ったまま即納できるのは、「各工程(プロセス)ごとに、その都度都度で都度対応し、合意を積み上げながらプロジェクトを進行させているから」です。一番修正が多くなる「スーパー(キーワードテロップ)」の細かな文言の微調整も、デザインの奇抜さではなく、内容面のチェックとして段階的に試写を重ね、本編集、音楽の選曲効果(MA)、ナレーション収録にいたるまで、すべてクライアント様の立ち会いのもとで、その場その場で100点満点の合意を形成して仕上げていきます。
