TikTokerが企業映像に不向きな理由
TikTokは、短尺動画に特化したエンタメプラットフォーム。TikTokerは、そのプラットフォームの特性を最大限に活かし、瞬発的な面白さやトレンドを捉える能力に長けている。しかし、企業の映像制作では、これらのスキルだけでは不十分。
1. TikToker動画の特徴
(1)ユーザーの行動特性の違い
TikTokのユーザーは、動画を「発見」するためにプラットフォームを使う。次々に流れてくる動画をスワイプして、一瞬で「見るか、見ないか」を判断する。このため、TikTokerは冒頭の数秒でユーザーの注意を引くことに命をかけている。しかし、企業の映像は、ブランドや商品の魅力をじっくりと伝え、ユーザーを「行動」に誘導することが目的。TikTokerの制作手法は、この目的に必ずしも合致しない。
(2)ブランドイメージのコントロールが困難
TikTokの動画は、「自然で、リアリティがある」ことが重要視される。これは、企業の統制されたブランドイメージとはしばしば衝突する。TikTokerが企業の意図と異なる表現をしたり、意図しない形で炎上したりするリスクもつきまとう。
(2)ストーリーテリングの欠如
TikTokの短尺動画では、起承転結のある深いストーリーを伝えることは困難。多くのTikTokerは、「インパクト」や「面白さ」に特化しており、映像に物語を織り交ぜるスキルは必ずしも持っていない。
2. TikTokerの起用を検討すべきケース
TikTokerは特定の目的においては、非常に有効なパートナーとなり得る。
(1)若年層へのリーチ
TikTokerは、若者文化やトレンドを熟知しており、特に10代〜20代へのリーチに非常に効果的。
(2)キャンペーンの拡散
ハッシュタグチャレンジやUGC(ユーザー生成コンテンツ)を促すキャンペーンでは、TikTokerの持つ拡散力が大きな武器になる。
TikTokerは「タレント」であり、「マーケター」ではない。彼らを起用する際は、企業のブランドを伝えるための「映像制作者」としてではなく、キャンペーンを盛り上げるための「インフルエンサー」として捉えるべき。