研修映像「レクチャー型」「ドラマ型」の違い
1. 学校教材・教育研修のシナリオの特徴と難易度
●難易度
低い
●理由
- 1)目的が明確
映像の目的が「特定の知識を教える」「手順を説明する」など、非常に具体的。そのため、ストーリーや登場人物の感情を深く掘り下げる必要がない。 - 2)実在する内容がベース
実際の実験や業務プロセス、歴史的事実など、元となる情報がすでに存在する。ゼロから物語を創作する必要がないため、脚本の負担が少ない。 - 3)正確性が最優先
創造性よりも、情報の正確性が最も重要視される。専門家や監修者からの指示に基づいて内容を構成することが多いため、独自性が求められる場面は少ない。
●シナリオの書き方とポイント
教育教材のシナリオは、ドラマのような「ト書き」形式ではなく、「構成台本」や「文字(絵)コンテ」に近い形式で作成される。
(1)構成を論理的に組み立てる
複雑な内容は、段階的に、そして論理的な順序で提示することが重要です。
*導入(学習目標の提示)
*本編((具体的事例、図解、解説)
*演習/応用(理解度チェック、実践)
*まとめ(重要なポイントの再確認)
このような明確な構成にすることで、視聴者の理解を深めることができる。
(2)分かりやすさを追求する
*専門用語の言い換え
専門的な言葉は、初心者にも分かりやすい言葉に置き換えるか、補足説明を付け加える。
*図解やアニメーションの活用
文字や言葉だけでは伝わりにくい内容は、図やグラフ、アニメーションで視覚的に説明するようにする。
*テロップの活用
重要なキーワードやポイントは、テロップで画面に表示し、視聴者の記憶に定着させる。
*専門用語の言い換え
専門的な言葉は、初心者にも分かりやすい言葉に置き換えるか、補足説明を付け加える。
*図解やアニメーションの活用
文字や言葉だけでは伝わりにくい内容は、図やグラフ、アニメーションで視覚的に説明する。
(3)視聴者を飽きさせない工夫
- *短いチャプターに区切る
長時間の映像は集中力が切れるため、数分〜10分程度の短いチャプターに分け、学習の負担を軽減。 - *ナレーションの抑揚
単調なナレーションは避け、重要な部分で声に抑揚をつけたり、一拍置いたりする。 - *クイズや問いかけ
映像の途中で視聴者に問いかけを投げかけ、能動的な学習を促す工夫も有効。
教育映像のシナリオは、「先生役」として、いかに分かりやすく、視聴者の心に届くように情報を伝えるかという点に重点が置かれる。高度なストーリーテリング能力よりも、論理的な思考力と親切な視点が求められる分野と言える。
2.教育映像における「ドラマ仕立て」の難しさ
ドラマ仕立ての教育映像は、物語に知識や情報を織り込むため、シナリオの難易度は上がる。
(1)物語と情報の両立
- 物語の面白さを保ちながら、正確な情報を過不足なく盛り込む必要がある。
- <例>
「法律を学ぶドラマ」なら、物語の展開に合わせて法律の知識を自然に説明する場面を考えなければならない。物語が面白くても情報が抜けていたり、情報が正確でも物語がつまらなかったりすると、目的が果たせない。
(2)感情移入を促すキャラクター
- 視聴者がキャラクターに共感することで、学習への意欲を高めるのがドラマ仕立ての強み。
- <例>
視聴者が「この主人公を応援したい」「このキャラクターの失敗から学びたい」と思えるような、魅力的な人物設定と感情の動きをシナリオに盛り込む必要がある。
(3)結末でのメッセージの定着
- ドラマの結末で、単に物語を終えるだけでなく、学習した内容やメッセージを改めて強調する必要がある。
- <例>
物語の感動と同時に、「このドラマから何を学んだか」という点が視聴者の心に残るように設計しなければならない。
種類 | 演出方法 | シナリオの役割 | 難易度 |
座学・レクチャー型 | 先生が講義をする、図解やアニメーション | 情報を正確に分かりやすく伝える | 低い |
ドラマ仕立て | 物語の登場人物が学習や問題を解決する | 物語を通して情報を効果的に伝える | 高い |
「どういう手法で教育を行うか」によって、シナリオの難易度は大きく変わる。もしドラマ仕立ての教育映像を考えているなら、「伝えるべき情報」と「物語の面白さ」の両方をバランスよく両立させる工夫が必要となる。
3.ドキュメンタリー・ドラマ・レクチャーを複合的に組み合わせる手法
「教育」や「啓発」を目的とした映像でよく使われる手法。それぞれの強みを活かし、視聴者の理解と興味を最大限に引き出すことができる。この手法のシナリオは、難易度が非常に高い。
(1)複合手法の強み
●感情的な引き込み(ドラマ)
- 視聴者が登場人物に感情移入することで、物語に引き込まれる。
- <例>
「ある病気で苦しむ主人公」のドラマパートを入れることで、その病気がいかに大変かという当事者の視点を視聴者に提供する。
●事実に基づく説得力(ドキュメンタリー)
- 専門家や当事者のインタビュー、実際の映像(記録映像)を挿入することで、ドラマで描かれた内容に説得力と信頼性を持たせる。
- <例>
ドラマパートの後に、実際にその病気を研究している医師のインタビューを挿入し、病気の原因や最新の研究状況を解説する。
●分かりやすい情報提供(レクチャー)
- 難しい専門用語や概念を、ナレーションや図解、アニメーションを使って分かりやすく解説する。
- <例>
アニメーションで病気の仕組みを解説したり、グラフで患者数の推移を示したりする。
(2)シナリオの難しさ
●全体の構成と流れの設計
どのタイミングでドラマパートを挿入し、どのタイミングでドキュメンタリーやレクチャーに切り替えるか、全体の流れを緻密に設計する必要がある。
ストーリーが途切れて視聴者の集中が切れないように、それぞれのパートの繋ぎ目(トランジション)をスムーズにすることが重要。
●情報の過不足の調整
ドラマパートで感情に訴えすぎると、事実に基づく情報が不足する可能性がある。逆に、レクチャーパートが長すぎると、視聴者が飽きてしまう。
「物語」と「情報」のバランスを常に意識しなければならない。
●信頼性の担保
ドラマパートはフィクションですが、ドキュメンタリーやレクチャーパートの事実と矛盾しないように、綿密なリサーチが必要。
「監修者や専門家との連携が不可欠であり、シナリオ段階でその内容を正確に反映させる必要がある。
この手法は、視聴者に「知る」「感じる」「学ぶ」という3つの体験を同時に提供できるため、非常に効果的。しかし、その分、シナリオ作成においては多様な表現手法を駆使する高度なスキルと、綿密なリサーチと構成力が求められる。
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